「蒼い時」
もうすでに完結しているコンテンツだから安心して接することができる、というのもあるのだと思う。
数年前から私は山口百恵のファンなのだ。
私のカラオケの十八番は「プレイバック Part2」。歌いながら泣いちゃうのは「秋桜」と「さよならの向う側」。最高にかっこいいと思う曲は「ロックンロール・ウィドウ」。
母の影響もあってか、有名な百恵ちゃんの歌はほとんど歌える。
それほど好きなのだ。
百恵ちゃんは私が生まれる何年も前に引退している。
誰かが言っていたけれど、昔のアイドルを今追っかけるのは考古学者に似ている。私たちは古い雑誌の記事や動画を"発掘"して喜ぶのだ。
Twitter上で、百恵ちゃんの「プレイバック Part2」と沢田研二の「勝手にしやがれ」をテレビ番組でコラボしていたことを知った時には鼻血が出そうなくらいテンションが上がった。この組み合わせ、最高じゃないですか。若い人にはわかりませんか。いや、若くなくてもわかりませんか。すみません。
今回の本は、古本屋でたまたま"発掘"した百恵ちゃんのエッセイ集。
今まで華やかな百恵ちゃんしか追いかけていなかったので、裕福ではなかった過去や父親との関係、裁判の事件などを初めて知った。
21歳で芸能界を引退した百恵ちゃん。そんな若い子がこんな苦労をしながらも、凛としたイメージを壊さないように、自分で考え、行動していたのだと思うと心がぎゅっとなる。
自分が21歳の頃は何をしていただろうか。
引退のさよならコンサートではファンから「百恵ちゃん辞めないでー!」と言われていて、それに対して同じ気持ちでいた私だったけれど、この本を読んでからは少し考えが変わった。百恵ちゃんには芸能界から離れて、平和で穏やに暮らしてほしい。幸せになってほしい。そう思うようになった。
引退してから38年が経ちますが、今、幸せですか?百恵ちゃんが幸せなら私も嬉しいです。
ちょっとしんみりしてしまったので、最後に本書で私が気に入ったフレーズを。
「髪型を変えるということは、女にとって勇気のいることではあるが、新しい自分を発見するキッカケになるし、たったそれだけのことで、本当に生まれ変われたような気持ちにもなる。
髪型を度々変える人は、移り気だという。たしかにそうかもしれない。しかし、移り気は冒険心の第一関門である。画一化された日常生活の中で、ささやかな冒険心を満たすには、髪型を変えることぐらいしかないような気もする。」
私も髪型を変えてみようと思っている。東南アジア系のような、一目見た感じでは日本人に見えない髪型。
旅人っぽさをもっと前面に押し出したい。