「二十億光年の孤独」
詩や短歌は小説よりも書いてある文字は少ないけれど、その少ない言葉で作者は何を言おうとしているのかを汲みとりながら読むので時間がかかる。それに、自分の内面が冷静でなければ集中できないから、心がうきうきしている時には読めない。
そんな変な性格に付き合わされて、この本は5年近く本棚に眠っていた。
正確に言えば、はじめの数ページを読んでは本棚にしまい、また気が向いて少し読んではしまいを何度も何度も繰り返していた。そして、やっと、今、最初から最後まで読み終えたのだった。
私たち姉妹は谷川さんの翻訳した絵本を読んで育った。
スイミー、ペツェッティーノ、アレクサンダとぜんまいねずみ、シオドアとものいうきのこ、とっときのとっかえっこ、など…(よく考えたらほとんどレオレオニだ)。そして、大人になってからはフレデリック、さかなはさかな、コーネリアスを読んだ(こちらもすべてレオレオニ)。
案外ずっとお世話になっていたのに、詩集を読んだのは今回が初めてだった。
タイトルにもある「二十億光年の孤独」や、亡くなった犬を思って書かれた「ネロ」という詩も当然良いのだけれど、一番気に入ったのは「初夏」だった。その中に少年というカテゴリがあって、
"永遠とは魂にとってなんという倦怠だろう
そして又何という恐怖であろう
ある遊星の一時期とその小さな幸福
ひとつの脳とその美しい恣意の形
そして
ひとつの心とそのいじらしい大きさ
それらの豊かさに僕には答がない"
と書かれていた。
これを読んだ時、体がぞわ~っとなるような、地上から3mmほど浮いてるような不思議な感覚に陥った。
詩は深い。