「こころの対話 25のルール」
伊藤守
実兄のような10歳上の友達が貸してくれた。
上司(50代男性)とのコミュニケーションがうまく取れない。
ワンマン気質な上司。口が悪くて、なんでこんなに人をバカにするような言い方しかできないんだろう、と私はいつも思っている。自分でできる人や考えて動ける人に対しては、勝手にしやがってとブツブツ文句を言っている。周りに敵が多くて、また俺ばっかり責められるんだけど、ともぼやいている。そんな人。
じゃあ、なんでこんなモンスターな上司になってしまってるんだろうか。
きっと、上司は「話を聞いてもらえてない」というコミュニケーションの"未完了"な気持ちをずっと抱え込んで生きてるからなんじゃないかと思った。職場だけでなく、もしかしたら、家庭でも。
俺はこんなに仕事できるのに、貢献してるのに、というプライドや自負がある。でも、周りの人に受け止めてもらえないので、どんどんアピールが過剰になる。大げさに言うから嘘になる。結果、信用ならんやつだなと相手にされなくなる。思った通りにいかなくて、人を傷つけるようなことを言う。負のループ。
そう分析した。
そして、私もそんなモンスターになりつつあった。
上司に提案しても、だいたい理由も深く聞かれずにつっぱねられる。一緒に考えることもされず、鼻で笑われる。私もコミュニケーションの"未完了"が溜まる一方。どうせ何を言っても無駄だと諦めて、上司を嫌うことで気持ちを落ち着かせていた。
さらに、自分でついた悪態に、自分自身がうんざりしていた。
そう、私はその悪循環から抜け出したかったのだ。
じゃあ、どうすればいいのか。
変えることは、ただ「聞くこと」だけ。
まずもくじを見た時に、この本の小見出しに"聞きなさい"という言葉が多く出すぎていて、読む前にちょっと引いた。それほど「聞く」ということがキーワードということがわかる。
相手に十分聞かれていると感じた時、その人はそれ以上の自己主張はしないそう。
それに、嫌いな人を好きになれとは書いてない。書いてあるのは至極真っ当なこと。嫌いな人のところへ行かないこと。選べる環境は選んでいくということ。
そして、自分の未完了なモヤモヤを解消するには、過去にあったコミュニケーション不全のできごとを、見て見ぬふりせず、向き合って、味わって、許すこと。
どんなことも考え方なんだろうな。
やってみるか。
ちょっと気持ちが落ち着いた。