「ホリー・ガーデン」
主人公の果歩が、今働いている会社の人事のお姉さんにイメージがぴったりで、何度も姿を重ねて読んでしまった。案外他人に対して冷静というか、マイペースというか。そんな感じ。
その果歩が、かつて付き合っていた津久井のことを思い出した時の一節が気に入っている。私もこういうことを思ったことがあったなぁ。
『いつもそうなのだ。いったん缶をあけたが最後、津久井の亡霊がそこらじゅうにはびこってしまう。亡霊は記憶となって果歩の日常を侵蝕し、片時もそばを離れない。』
江國さんの小説全般に言えることだけど、江國さんの書く文章は私の気持ちを代弁してくれている、とよく思う。自分の心の中にはあるけど言葉に落としきれないモワンとしたものが、小説を読むと言葉になって見つかる。
せつなさ★★★★☆