はらぺこ本の虫

読んだ本をゆるーくご紹介。ジューシーな文章が大好物です。

がらくた

江國香織

「がらくた」


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江國さんの本を読んでいると、たまに「付き合ってる人がいてても結婚してても、好きな人ができればセックスしていい」っていう感覚になる時がある。この本もそう。私は誰のものでもない、という精神的・肉体的に自立した姿でもあり、性に奔放な軽い人という感じにも思える。現実的に見ればだめなんだろうけど。

だからこそ江國さんの書くそれは一種のファンタジーなのかな、とも思う。

感受性が豊かでよくものを考え、好きな人に好きだと全身で伝える。甘くて美しくて健やか。そんな魅力的な人、周りには中々いない。小説に出てくる柊子もミミちゃんも柊子の夫もミミの父親も、みんな甘くて美しくて健やかなのだ。


印象に残った一節。

「私が事情から学んだことだ。すべての男の人はちがうかたちをしており、ちがう匂いがする。ちがう声を持ち、ちがう感じ方をする、それらを比較することはできない。できるのは、一つずつ味わうことだけだ。」

いつも思うけど、江國さんのひらがなの使い方が好き。