「冷静と情熱のあいだ Blu」
またもや途中で違う小説に浮気したり、それでも気になって戻ってきたりしながら、読み始めてから終わるまで2ヶ月かかった。
辻さんの小説自体は初めて。江國さんとの共作じゃなかったら出会ってなかった作家さんだろうな。
タイトルにもなってる「冷静と情熱のあいだ」ってどういう感情だろうと考えた。
この2ヶ月、私自身の生活にも変化があって、冷静でいなきゃと気を張る場面があったし、逆に情熱が湧き出してきて自分でも止められなくなってしまうこともあった。でもどっちに気持ちを振っても後でしんどくて、自分の中にある冷静と情熱をコントロールしていい加減にするのにだいぶエネルギーを使った。例えるなら、お風呂の蛇口の水とお湯。ちょうどいい温かさに調節しとかなきゃ安心して湯船につかれないという感じ。
こんな揺れ動く感情は久しぶりで疲れたけど、ものすごく効いてる気もする。20代前半にはよくやってた気がする(上手くいくいかないは別として)から、まあ心のリハビリみたいなものか。
仕事でもそうかもしれない。
私はどちらかというと熱っぽくなっちゃうタイプで、一度のめり込んだらとことん突き詰めたい人。だから何でも長続きしないのだろうけど。
理想は「細く長く」なわけで、続けていくためには少し落ち着いて、俯瞰して見ることも必要。30を過ぎてやっとコントロールが少しできるようになってきた。まだ下手くそだけれど。
そう思うと、辻さん側の順正は情熱の蛇口を多めに捻るように好きな人のことばかりを想っていて、江國さん側のあおいはなるべく冷静に努めようと感情を押し殺したり、違うことで気を紛らわせるようにしていた気がする。
もしかすると作家のスタイルの差かもしれないし、単に男女の差なのかもしれない。恋愛に対して男性は名前をつけて保存、女性は上書き保存と言うし。
みんな同じ熱量で接することができたらいいのにね。
(そんなこと実は無理だって知っているけど)