はらぺこ本の虫

読んだ本をゆるーくご紹介。ジューシーな文章が大好物です。

ちょうちんそで

江國香織

「ちょうちんそで」


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今になって思うに、文庫本の最後についている「解説」は読書感想文なのだと思う。

当たり前と言えば当たり前なのだけど。

小学校の頃に出た夏休みの宿題の読書感想文みたいなもの。違うこととすれば、解説を書いてるのは作家だったりアーティストだったりみんないい大人であるということ。多少なりとも人生経験を積んできている人たち。そんな大人が読書感想文を書くと、ただただおもしろかった、という幼稚なものではなくて、一旦自分の中に落とし込んでから再構築してアウトプットしているので、経験や価値観に絡めた文章ができあがる。本編に比べるとたった数ページだけれど、作家の色が出ていておもしろい、と私は思う。


そして、江國さんの小説の解説を書く人はたいがいいい文章を書く、というのが私の持論。

そもそも、クセの強い江國さんの小説を好んで読んでる時点で、似たにおいというか、おもしろいと思えることを共有できる要素を持っているのだろうな。新たな視点での気づきもある。


私だったらどう書くだろう。


雛子と彼女を取り巻く人たちの、それぞれの暮らし。みんな例外なく繋がりを持って生きている。親子という繋がり、夫婦という繋がり、兄弟、姉妹、恋人、先生と生徒、同じマンションに住む住人

でも、お互いに声に出さないから思っていることは伝わらない。すれ違いと勘違いと秘密と。


私の感想文もまだまだ上達が必要だな。