「城崎へかえる」
城崎温泉だけでしか買えない小説。
母子の思い出にまつわるショートストーリー。カニの足をイメージした外箱もかなりセンスがいい。
読んでいて、微妙な関西弁のニュアンスの違いを感じた。
兵庫の中でも地域によって方言がだいぶ違うのは知ってたけれど、文字にすると何だかモヤモヤして読みづらい。文章中に「感じへん」と書いてある言葉は、私の育った土地では「感じひん」なのだ。
「〜しない」という言葉も、
せーへん
しーひん
で大きく分けられると思う。
調べてみると、京都寄りの若い世代が"ひん"をよく使うとのこと。この場合、私はどちらか一方ではなくて、ミックスで使ってることが多い。
「今日の晩、2人やし鍋せーへん?」
「え、1人やったら鍋しーひんの?!」
「1人じゃ鍋せんやろ」
「大学ん時みんなしてへんかった?」
4つの会話に4種類の「〜しない」を入れてみた。私はこれらを相手や状況によって使い分けてる。年上の親しい人に話す場合は「せーへんのですか?」と敬語にもできる。
そもそも、方言って文字に起こすのがけっこう難しいところがあると思う。どの書き方が正しい正しくないっていうものはないし、あいうえおの50音じゃ表しきれない"かとけの間"みたいな発音があるのも確か。
普段意識しないで使ってるし、しゃべってる中でお互いに使う言葉が違っても意味は分かるから、逆に視覚的に文字で見ると違和感を覚えたりするんだろうな。
ちなみに、湊かなえさんの使う関西弁は神戸+大阪市周辺かな、と私は踏んでいる。