はらぺこ本の虫

読んだ本をゆるーくご紹介。ジューシーな文章が大好物です。

世界で一番好きな店

「世界で一番好きな店」

企画・編集 ふもと出版

 

 

プロの作家ではない人たちが自分の思い入れのあるお店について執筆したアンソロジー

一番おいしいと思う店ではなく、"好きな店"としたところに編集者のセンスを感じる。

 

そしてなによりも鳥取県倉吉市にあるお店についても書かれていることに、驚きと嬉しさがこみあげてくる。店はラ キューという名前らしい。調べてみると家からわりと近い。いつか行かねば。

 

ヤモリ、カエル、シジミチョウ

「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」

江國香織



さまざまな登場人物たちの視点が切り替わりながら進んでいく小説。その中でも、幼稚園児の拓人目線で進んでいく話が私は一番気に入っている。子どもには子どもの世界やルール、子どもなりの大人への気遣いみたいなものがあるんだった、と思い出させてくれる。


自分が幼稚園児だった頃の記憶はほとんどないけれど、園舎の階段下にあった大きな水槽にいたグッピーの尾ひれがキラキラとしてきれいだったことや、グラウンドの端にある針葉樹の下の茂みで何匹もバッタを捕まえたことは今でも覚えている。何度も一緒に遊んだ友達のことや毎日見ていた先生の顔よりも、そういったことばかりが鮮明に残っているのは不思議でもある。


でもきっと、覚えてないだけでもっと不思議な出来事があったかもしれない。小さな生き物ーーヤモリやカエル、シジミチョウなどーーの言葉が分かる拓人のように。

私の妹は、阪神淡路大震災が起こる直前に夜泣きをして、台所にいた母親を寝室へ呼び戻したらしい。母は「そのままキッチンにいたら大怪我するか死んでいたはず」と言っていた。妹はきっと何かを感じたのだと思う。

幼い子というものは人間よりも動物に近い気がする。もしタイムスリップできたなら、幼児の頃の自分や妹たちを観察しに行きたい。


年収90万円でハッピーライフ

「年収90万円でハッピーライフ」

大原扁理


f:id:askbooks:20220222071040j:plain


救われる。

その一言に尽きる。


WEBデザインの会社に転職した時、社長から「今、君何歳?いい年なんだから、年齢×万円くらいもらわなきゃって感覚で働かなきゃだめだよ」と言われ、入社当初からくじけそうになったのを思い出した。

私は何のために働いているのか。食べるため。そうだ、間違いない。でも、なんだかこれじゃない感。落ちどころを見失ったまま、ずっと心が宙ぶらりんの状態だった。

年収90万円ということは、12ヶ月で割ると75千円。それだけの収入で生きていけてる人がいる、ということがわかっただけでも安心できる。そんな本。"年齢×万円"を稼がなくても、自分次第で楽しく生きていくことができるのだ。


野草を摘んで食べる。

ライフスタイルに合った服を着る。

ずっと一緒に居たくなるような家に住む。

うん、私にもマネできるかも。


お釈迦さまの言葉の引用も覚えておきたい。

「人間は、自分以外のものを本当の拠り所としては生きていけないのだ」と言ったということ。

最近よく、執着しすぎない、ということを考える。あれもこれもとモノを持ちすぎない、相手に期待しすぎないとかもきっとそういうことだろうな。

失敗したりうまくいかないことがあるとすぐ「私なんて」という気持ちになってしまいがち。自分を見つめて、自分を信じて、自分を大事にしてあげようと思う。自分の心のおもむくままに。


汽水空港台湾滞在記 vol.1

「汽水空港台湾滞在記 vol.1

モリテツヤ


f:id:askbooks:20220127222614j:plain


私も今すぐ台湾に行きたい。

優しい世界がある気がする。


ごはんはおいしいし、人は親切だし、日本人は漢字が読めるので旅をするのにも楽。モリさんもきっとそう感じたに違いない。


文中に出てきた

"

「母国語以外の言語を扱えるのうになって安心感のようなものを感じている」(中略)選択と視野が広まれば生きていく道も見つけやすい。

"

という言葉がお気に入り。確かにそうだと思った。


わたしのマトカ

「わたしのマトカ」

片桐はいり


f:id:askbooks:20211117194534j:plain


はいりさんの書く文章はカラッとサクッと、たまにフフッと。読んでいて楽しい。

たくさんのお芝居をしていて、たくさんの豊かな文章に出会っているからだろうか。それだけでは理由にならないかもしれないが、良いアウトプットは良いインプットに比例していると私は思う。


そして、はいりさんの感覚が好きだ。

肯定的に考えてみる。

なんでも挑戦してみる。

飲み食いに関する言葉から覚える。

いいねいいね、と頷きながら読んでいた。


以前に「グアテマラの弟」を読んだのはいつだっただろうか。

(昨年の2月だった。https://askbooks.hateblo.jp/entry/2020/02/12/004108 )

その時の感覚を少し思い出した。


インパラの朝

「インパラの朝」

中村安希


f:id:askbooks:20211116205516j:plain


比べる必要はないって分かっているけれど、同じ「世界一周」でも中東やアフリカに行ったかそうではないかでは、旅の密度が違ってくる気がする。

私は、後者だ。


どちらかと言えば私も貧乏旅行ではあったのだけど、訪れた国々にはほどよく整備されたWiFiや、きれいなトイレ、安全な宿、それらが揃っていた。

アフリカにもそういった場所はあるらしい。ただ、必ずしも居心地がいいとは限らないようだ。


まだ見ぬ憧れの大地。

きっと、そこでの出会いは、ものを深く考え見つめることを教えてくれるのだろうな。いつか行きたい。