はらぺこ本の虫

読んだ本をゆるーくご紹介。ジューシーな文章が大好物です。

神様のボート

江國香織

「神様のボート」


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江國さんの感性がとても好きだ。(だからファンなのだけど)

今回もぐっとくる言葉がいくつもあった。素敵だなぁ。


「たしかに、何かを所有することで、ひとは地上に一つずつ縛りつけられる。」


「冬は生き物がみな眠る季節だ。(中略) 冬は知恵と文明が要求される季節だからだと言っていた。」


「人間とちがって、音楽は確かだ。つねにそこにあるんだからね。鍵盤に触れるだけでいい。いつでも現れる。望む者の元に、ただちに。」



あと、江國さんの描く大人は、だいたいが子どもっぽく自由で、逆に子どもたちは大人びた雰囲気を持っていることが多い。大人が子どもで、子どもが大人。そう言うと一見逆転しているようにも取れるけれど、違うのだ。どちらもが大人と子どもの中間地点に近いところにいる感じ。なので、大人だから偉いとか子どもだから単純だとか、そんな世間が勝手に決めたようなイメージは江國さんの前では通用しない。みんなが等しく、ひとつひとつの存在である。多少の違いはあるけれども優劣なんてない、と示してくれているような。うっとりする。

読めば読むほど江國さんにハマっていく。

 

背骨の愛おしさ★★★★★