「犬とハモニカ」
短編集。一番のお気に入りはゲイカップルがポルトガルで休暇を過ごす「アレンテージョ」。以前読んだアンソロジー「チーズと塩と豆と」に載っていたので、読むのは2度目だった。
ごはんを食べる時の描写がとても愛おしい。
"僕は思うのだけれど、おなじものをたべるというのは意味のあることだ。どんなに身体を重ねても別の人格であることは変えられない二人の人間が、日々、それでもおなじものを身体に収めるということは。"
坂本真綾の「パプリカ」という曲にも似たような歌詞があったのを思い出した(作詞はやっぱり岩里祐穂)。私はきっと、恋人同士でごはんを食べる、ということをとても重要視してるのかもしれない。
それにしても、江國さんの作品はどういうわけか鎮静剤のような効果があると思う。荒れていた心を鎮めてくれる。知性のかけらが見え隠れするからか、ミステリアスな大人の雰囲気に酔えるからか。
今回もなぜだか救われた気がした。